| 2024/07/19(Fri) 04:06:23 編集(投稿者)
こんばんは、akaimiさん。横レス失礼します。 お節介ながら勝手補足させて下さい。
量子力学の登場で相対性理論までの物理は古典物理と呼ばれるようになった。 古典物理の特徴は素朴実在論を前提としているということ。
素朴実在論とは観測対象は観測する私たちの意識とは独立して(無関係に)存在(実在)しているということ。 これを前提として組み立てられたニュートン力学も含めた相対論までの物理理論が古典と呼ばれるようになった。
量子力学では私たちが観測する以前は、量子は空間に波のように広がった運動(シュレディンガー方程式=波動方程式)で記述すれば現象と合致する。 観測した瞬間に波束が収縮し(空間に広がって存在していた非局所的な位置を持たない量子が)局所的な位置を持つ粒子として観測される。
何故、私たちの観測という行為、あるいは意識が対象の存在様相に影響を与えるのか? 何故、空間に広がっていた波が観測という行為によって収縮するのか? これは素朴実在論にも反する理論となる。 これらの疑問が量子力学によって生じた「観測問題」と呼ばれる物理&科学哲学的な問題。
これに対して主流派となったコペンハーゲン解釈では観測できないことは物理学の俎上に載せない。 物理学とは観測したもののみを対象とすべきであり、観測不能なその背後や原因を研究対象にしないというスタンスであり、実証主義をベースとする。
つまり観測問題とは量子力学を古典物理に押し込めたために発生する問題であるというスタンスをとる。実証主義はあきらかに素朴実在論とは相容れない波動方程式を道具として用いる道具主義と(古典物理側からは)批判されたりもする。
「観測問題」は、そもそも観測によって波束が収縮すると認めるから上記のような問題が生じるのであって、観測によって波束が収縮しなければ上記の問題は生じない。
波束が収縮するのではなくて観測された位置に量子が存在する世界に分岐するのであって、確率的に共存している複数の世界が同時並行(パラレルワールド)として存在するという仮説。
つまり多世界解釈とは素朴実在論を前提とした理論に量子力学を戻したということもできます。 著者の和田純夫氏は多世界解釈を支持する物理学者です。
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