| 詳しいどころか、基本的なことの理解もグラついていることを自覚しています。
「論理哲学論考」一冊なんですよね、生前公刊されたのは。同書を完成した後、哲学とケンブリッジの地位を捨てて、小学校教師になり、約10年後にケンブリッジに復帰する。その頃に学位論文として同書を提出した。その口頭審査をしたのがラッセルと哲学教授のムーアで、その席でウィトゲンシュタインは二人の肩を叩き、「心配しなくていい、これをあなた方が理解できないことはわかっている」と言ったそうですね。
ムーアは審査報告で「私自身は氏の学位論文を天才の仕事だと見なしている。仮に氏が天才でも何でもなくても、ケンブリッジ大学のPh.Dに必要な水準は優に超えている」、などと評しているそうです。
ウィトゲンシュタインは、スピノザやニーチェと著述スタイルが似ているとされることもありますが、生前不遇だった彼らに比べてウィトゲンシュタインは生前既に名声を得ていますが、どこまで理解されてきたかとなると、まだまだ未開のところが多いと思います。
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