| 西脇順三郎詩集(現代詩文庫pp.72-73)
「意識は過去だ 意識の流れは追憶のせせらぎだ 時の流れは意識の流れだ 進化も退化もない 変化するだけだ 存在の意識は追憶の意識だ 「現在」は文法学者が発見したイリユージョンである。 「話す人」の位置だ 永遠は時間でない 時間は人間の意識にすぎない 人間に考えられないものは永遠だ」
「進歩といっても単に 回転するだけだそれもやがては 太陽とともに回転しなくなる でも永遠は永遠にのこる ヒョウタンも人間もムギも エーテルもアトムもなくなる だがすべての物質がなくなるとも 永遠だけはのこる 永遠はただ一つの存在で 存在の根元として残る 永遠という意識は人間の 脳髄にのこされた宝石だ」(同著pp.98-99)
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