| 多数の登場人物が出演している映画。この自分はその映画の唯一の観客。 登場人物であるAさんはリアルではどんなに親しくても、映画の登場人物として知りうるのみ。
一方、Aさんもまた多数の登場人物が出演している映画の唯一の観客であり、この自分はAさんの映画の登場人物でしかない。
「映画の唯一の観客」という喩えを出したが、三次元空間でスクリーンを眺める観察主というイメージではない。
わたしがイメージしているのは、厚みのないうすーい二次元のスクリーン。二次元、三次元という語やイメージはあくまで方便なので、二次元といった時点でこれも違うのだが。要するに、次元を書いた直接性。媒介なしの直接性。ここに映画を観る自分がいる。そういうことだ。
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