| 経済協力開発機構(OECD)の統計では、上位5%の富裕層が保有する資産の割合は、米国の68.1%に対し、ドイツが46.3%、フランスが37.3%、日本では27.7%だった(読売新聞2020年1月21日付)。アメリカでは完全に中間層が消滅している。関税自由化のグローバリズムの結果だろうか。コスト競争で非正規雇用の増加ということで人件費を安くおさえるしかなかったのだろうか。しかし各国とも条件は同じでなぜアメリカだけが突出して格差が拡がったのだろうか。アメリカ固有の原因と他の国と共通の原因があるはずだ。私は社会主義者ではないがこの格差はとても異常に思える。 グローバリズムの行き着くところはカントのいう世界共和国であり、国境のない世界であるが、世界政府のない無秩序な世界ではない。関税ゼロということは国境のない世界に等しいのに資源は効率的に配分されながら、所得の配分が適正ではない。厚生経済学のテーマではあるが世界政府もなく自由化すれば格差は拡がるばかりだ。本当はグローバル化すれば世界政府のような調整機構が必要なのだ。
|