| NHKブックス100分de名著『カント 永遠平和のために 悪を克服する哲学』 萱野稔人 著 を読んでいます。 その第2章を今回はまとめさせていただきます。
まず、先日まとめた第1章の最後のあたりの補足。 ※カントは平和を実現するためには国家は不可欠だと考えていた。なぜなら、国家とはその領域内で「法的な状態」を確立することで存立するものだから。言い換えるなら、国家が存立しているのは、戦争状態である自然状態がその領域内で克服された結果であるから。 同書p46〜p47からまとめ。
本来、自然状態では敵対行為に向かいやすい人間も、法に基づいて敵対行為を取り締まる公権力が存在することにより敵対行為が起きにくくなる、その結果として、その領域での内乱は起きにくくなる、ということ。
ここから第2章。 人間の本性は戦争に向かいやすい傾向性を宿しているので、平和実現のためには、戦争が起こりにくくなる社会の仕組みづくりが必要となる。 カントの本著でも第2章で「国家間における永遠平和のための確定条項」として3つの条項を提示していて、これらは本著の主要部分となる考察だそうです。
以下、1つづつ見ていきます。
※第一確定条項 どの国の市民的な体制も、共和的なものであること
共和的な体制を構成する3つの条件として、 @ 各人が社会の成員として自由であるという原理が守られること。ここでの自由とは、「他人に迷惑や危害を与えなければ何をしてもいい」という意味の自由ではなく、権力者が一方的に決定した法に人々が一方的に従うのではなく、法の決定に際して間接的にであっても関与できる、ということ。
共和的な体制が戦争回避に有効な理由として。国民に主権があれば、国民の同意を得なければ戦争を起こせないし、敗戦などがあった場合の莫大な負担、自らが戦争に向かう必要がある(傭兵による軍隊をカントは批判していた)などから、戦争に対して慎重になる。
日本でも憲法第九条を改正しようとする動きはあるけれど、その改正には反対も多いですね。
一旦切って次に進みます。
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