| [5]歓楽と情熱とについて
・・・・・ 17 そして今後は、もうなんの悪さもきみから生じない、きみの諸徳の戦いから生じる悪を除いては。
18 わたしの兄弟よ、きみが幸運であれば、きみは一つの徳を持ち、それより多くを持たない。そうであれば、きみは軽々と橋を渡って行くのだ。 ・・・・・ 『ツァラトゥストラ』上 ちくま学芸文庫 p66より引用
17の「きみの諸徳の戦い」というのがもう一つわからないのですが、この前の部分からの判断も加えると・・・。 欲望(情熱)と、欲望を一面的に悪と考え抑制しようとする側の徳が一人の人間の内にある際の葛藤。 それが「きみの諸徳の戦い」なのかな、と考えています。
18の内容はそれを受け、幸運であるなら葛藤することなく、軽々と自己超克して超人になろうと意欲するだろう、と語っているのかな、と考えました。
25では、そう軽々とはいかない場合について語っているのだと思います。 自分の中で相反する徳に対しての葛藤が激しくて戦闘のように自分を攻撃し破滅するかのようにしてやっと超克に向かうようになる。 なので、相反する諸徳について葛藤することは愛されるべきなのだ。
|