| 『岩波哲学・思想事典』p.663〜p.664、丸山高司による解説を参照〜φ(..)
■ 実践 practice(英), Praxis(独)
・日本語の日常的用法では、言葉や知識、乃至理論に対するものとして、行為、実行、遂行を意味する。哲学でも、「実践」の基本的な意味は行為であるが、概念規定をめぐっては様々である。
・丸山があげる実践の概念規定における代表例、アリストテレス、カント。(※マルクスもあげられていますがここでは触れない。)
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◇アリストテレス
・『二コマコス倫理学』では、人間の活動が、「観想(テオーリア)」「実践(プラクシス)」「制作(ポイエーシス)」という3形態に分類される。
・アリストテレスによれば、「実践」の核心的な契機は人間に固有な2種のアレテー〔卓越性〕、つまりエトス〔習慣づけ〕によって形成されたエートス〔性状〕としての倫理的アレテーと、知性的アレテーとしてのプロネーシス〔賢慮〕である。つまり、「実践」とは、よいエートスとプロネーシスに即した活動であり、それ自体が目的であるような活動として、「よく生きること」乃至「よく為すこと」、つまり「幸福」に他ならない。〔p.664参照〕
◇カント
・上のアリストテレスの3分類は継承されるが、それぞれの概念規定は大きく変容している。
・アリストテレスの「実践」「制作」は、カントにおいては、人間の意志に基づくものとして広い意味で「実践的」と見なされる。この広義の「実践」概念は、「道徳的・実践的」と、「技術的・実践的」とに区別されるが、この区別は、アリストテレスの「実践」「制作」の区別に対応しているようにみえて、その内実は大きく異なる。〔p.664参照〕
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