| 『生きるための哲学 ニーチェ[超]入門』白取春彦 著 を参考にさせていただいて ニーチェの哲学についてまとめていく、の4回目。
〈ニヒリズムとニーチェ〉
「この世界というものはいったい何か、人はいろいろと解釈してきた。いつも人間の願望とその都度の必要性にしたがって、つごうのいいように解釈してきたのだ。 しかし、そうして手に入れたもっとも確かなものは、この世界は実はわれわれが過去の時代でさまざまに信じてきたほどの価値など持っていないということではないか。かつては、いくばくかの尊敬の念をもって世界は眺められてきたものだ。そして、人はこの世界に安住してきた(つもりな)のだ。けれどももはや疑念だらけだ。 疑いは濃い。あらゆる価値に根拠がなくなった今としてみれば、世界は最初からまったく無価値かもしれない。それがわかった時、われわれは世界への尊敬の念を捨てるのか。あるいは、疑惑を持った自分自身を捨てるのか。どちらを選ぶにしても、結局はニヒリズムではないだろうか。」(まとめ的な意訳) ・・・・・同書 P62〜p63より引用
(上記は、ニーチェ『悦ばしき知識』346 を白取さんがまとめられたもの。)
ニーチェにとってニヒリズムとは。 信じられてきた価値や意味がもともと存在しなかったとわかった時に生まれる 精神状態のこと。 哲学においてもさまざまな問いが繰り返されてきたが、決定的な真理は見出されることはなかった。
現実世界の背後という虚構を考えることをニーチェは「背後世界」と呼んだ。 そして、宗教は人々がニヒリズムに陥らないためのごまかしだと考えた。
自分の認識においてのみ、その世界がそのような顔でそこにある。 世界とは、とりもなおさず人間自身のこと。
(感想)
ニーチェにとってニヒリズムとは、悲観や虚無を表すものではなく、恐れるものでもなく、そこからのスタートを表すものと言えるのかもしれない。 与えられてきた価値観や意味に盲従するのではなく、自らが世界に色付けをしていっていいのだ、と。
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