| 品川嘉也(1932年9月15日-1992年10月24日)先生の著書「意識と脳」1982は小生のおそら
く畢生の愛読書であることは以前に書いた。その中で気になる箇所を引用してみよう。
「私達が歴史の流れにこのまま身を任せていれば西暦2040年頃に、世界の人口は無限大に
なるとアイゲンは警告している(『自然と遊戯』)。もちろん、無限大というのは数学上の言葉であ
って、物理的に無限の人口が実現することを意味しないが、無限大というのは現在の科学では推測も
予知もできない事態が起こることをも意味する。すなわちカタストローフである。MITのミドスらの予測
は基本的には連立線型方程式による定量的なシミュレーションである。アイゲンの予測は、非線型方
程式にもとづいた質的なものである。線型方程式は爆発解をもち、有限の時間ののちに無限大の解
を与えることがある。これを双曲線的増加と呼ぶのである。
人口無限大ということは、もちろん物理的に無限になることではないが、数学的に無限になるというこ
とは新しい局面に突入することを意味する。すなわちカタストローフが訪づれる。実際に、全世界が破局
に陥るか、それ以前に人口が静止するか、あるいは人類が絶滅するか。これまでに多くの動物種が、爆
発的な個体数の増加の後に絶滅している。
種の絶滅もまた進化の法則である。―――種の寿命としては数億年は長い方である―――。しかし人類
が、あと100年以内に絶滅するか否か、法則の中にも選択の自由はある。人類はどのような選択を
するのであろうか。生物としての人間の未来は、第1にこの選択にかかっている。この関門を突破しない
かぎり、人類に未来はない。」
意識と脳 紀伊国屋書店 p113〜115
個体数が不自然なほど増大すれば未知の病原体との遭遇の機会も増大する。人類は伝染病を克
服したとの錯覚に陥っていたが、実際は阻止の方法がわからない未知の病原体はこの地上に無数に
存在しているようだ。コロナウイルスではなくエボラウイルスのような病原体がコロナウィルスのような勢いで
流行しだしたら実際人類はひとたまりも無いだろう。カタストローフはもしやそれを意味しているのではな
かろうか。
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