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Re[18]: 宇都宮芳明先生の解説
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□投稿者/ pipit -(2022/03/09(Wed) 20:18:56)
| 2022/03/09(Wed) 21:27:55 編集(投稿者)
No21356 ↓ No21359 『論理学と数学と自然科学』 ↓ 今回は『形而上学の変革』についてです。
『純粋理性批判 下』 I.カント 宇都宮芳明監訳 以文社 巻末の宇都宮先生による解説より抜粋引用。p907-909
(宇都宮先生の解説文章) 『形而上学の変革 (略) 形而上学においても、対象の直観にかんして、同じ変革を試みることができる。 もし「直観が対象の性状に依拠しなければならない」と考えるなら、その対象について確実なア・プリオリな知を獲得することはできない。 しかし感覚の客観としての対象が「われわれの直観能力の性状に依拠する」としたら、対象についてなにかをア・プリオリに知る可能性が開かれる。 さらにこの直観内容が客観的な認識となるためには、表象としての直観内容を対象に関係づけ、後者を前者によって規定しなければならないが、それにはさらに「概念」が必要である。 ところでこの概念についても、それが対象に依拠すると考えると、やはり対象について確実なア・プリオリな知を得るのは困難である。 そこでこの場面でも、「対象」が、あるいは「対象がそのうちでのみ(与えられた対象として)認識される経験」が、「この概念」に依拠すると考えるならば、問題は解決する。と言うのも、「経験そのものが悟性を必要とする一種の認識」であって、「私はこの悟性の規則を、対象が私に与えられる前に、したがってア・プリオリに、私のうちに前提しなければならない」し、「この規則はア・プリオリな諸概念に必然的に依拠し、それに合致しなければならない」からである。 (略) カントはさらに、「自然探求者を模倣したこの方法は、純粋理性の諸要素を、実験によって確証されたり反証されたりするもののうちに求めることにある」と語っていて、ここからまた、カントが形而上学に実験的方法を採用したとも言われるのである。』
以上で引用終わります。 次は宇都宮先生の説明『直観と概念』に続きます。
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