| 『生きるための哲学 ニーチェ[超]入門』白取春彦 著 を参考にさせていただいて ニーチェの哲学についてまとめていく、の6回目。
〈力への意志〉
・・・・・ ニーチェが「生」という言葉を使うとき、わたしたちが日々生きることや人生一般のみを指しているわけではない。 あらゆる意味での生、もちろん生物の生、物事の生起や衰退、状況や様態の刻々たる変化、物事や制度の発展、政治理念をも含めた思想の進展までを指して、総じて「生きること」としている。
「この世界は、力への意志を本質とする」(『善悪の彼岸』186) ・・・・・ 同書 p101より引用
この世界にあるあらゆるものは留まらず、休みなく動いている。 それが生であり、生の本質には力への意志がある。
ニーチェが言う「力」は、エネルギーの言い換えではなく、生というものを動かしているのは力への意志である、ということ。
・・・・・ 人間でいえば、理性とか感情が心と体を支配しているのではない。 支配するのはそういう力への意志なのだ。これは人間の深部にある。 そして、人間とはそういう意志そのものなのだ。 ・・・・・ 同書 p103より引用
〃DER WILLE ZUR MACHI〃は、「権力への意志」とされている翻訳書もあるが、 「力への意志」と訳すべきであろう、という記述が同書p101にあります。
(感想)
人間の手が加えられなければ、どこまでも生い茂る植物たち。 遥か遠い地から季節ごとにやって来る渡り鳥たち。 人間も最も深いところでは本能に基づき生きている。 本来、動物とその意味においては変わらない。
理性を持つことはもちろん人として大切だけれど、人の持つ本能的な部分、力への意志を持つ存在であるということは恥ずべきことでも隠すべきことでもないと思う。
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