| 続き
ゴーダマはこの瞑想術の基礎を、人々が実際の経験に集中し、渇愛や空想に陥るのを 避けやすくなるように意図された一揃いの倫理的規則に置いた。 彼は弟子たちに、殺生や邪淫、窃盗を避けるように教えた。 そうした行為は必ず(権力や官能的快楽や富への)渇愛の火を搔き立てるからだ。 渇愛の火を完全に消してしまえば、それに代わって完全な満足と平穏の状況が訪れる。 それが「涅槃」として知られるものだ(この言葉の文字通りの意味は「消火」だ)。 涅槃の境地に達した人々は、あらゆる苦しみからすっかり解放される。 彼らは空想や迷いとは無縁で、この上ない明瞭さをもって現実を経験する。 依然として不快感や痛みを経験することはほぼ確実だが、 そうした経験のせいで苦悩に陥ることはない。 渇愛しない人は苦しみようがないのだ。
|