| 中国では漢民族と少数民族を合わせた中華民族という共同体を宣伝文句にしているようだ。民族共同体意識は秩序維持には役立つが、結局漢民族への同化政策が要なのだから、少数民族として独立しようとするとたちまち弾圧されてしまう。ウィグル民族やチベット問題がそうだ。中国共産党の指導者は漢民族中心の民族共同体意識が強いので異民族へは抑圧的になる。民主主義を否定するのも異質な野党を認めない民族共同体主義というナショナリズムの本質があるからだ。香港の民主化運動への弾圧はすさまじいものがある。本日6月4日は天安門事件が起きた日だ。 ロシア連邦も多民族国家ではあるが、公用語がロシア語であり、182の民族のなかでロシア人が7割を占めている。ロシアの指導者はナショナリストであり、ロシア民族中心主義であり、チェチェン紛争のように独立しようとするならたちまち弾圧されてしまう。ロシアで民主主義が育たないのも強力なナショナリズムがあるからだ。 「類的結合は同時に個性的対立」という原理が働き、民族共同体意識は異質なものをパージし、すなわち異質な野党を弾圧する。外的には異民族へ戦争をしかける。ロシアも中国も個人的独裁者というよりも民族共同体主義者として行動しているように見える。
|