□投稿者/ 田秋 -(2024/05/14(Tue) 23:51:55)
| 2024/05/15(Wed) 07:12:02 編集(投稿者)
knowingitself さんがマーラーの3番とツァラトゥストラとの関係に言及されました。その補足です。
マーラーがツァラトゥストラから引用しているのは4楽章で、アルトが引用された詩を歌います。 https://www.youtube.com/watch?v=6aM9hezKudY
マーラーが引用しているのは「ツァラトゥストラはこう語った」の「酔歌」の最後に載っている詩です。「第二の舞踏歌」にもほぼ同じものが載っていますが、一つ!二つ!というのは3番の歌詞にはありません。
O Mensch! Gib acht! おお、人間よ!心せよ! Was spricht die tiefe Mitternacht? 暗い真夜中は何を語るか? 》Ich schlief, ich schlief―, 「わたしは眠っていた、わたしは眠っていた― Aus tiefem Traum bin ich erwacht:― 深い夢からわたしは目ざめた。― Die Welt ist tief, 世界は深い、 Und tiefer als der Tag gedacht. 昼が考えていたより深い―。 Tief ist ihr Weh―, 世界の苦痛は深い―。 Lust―tiefer noch als Herzeleid: 快楽は―心の悩みよりもさらに深い。 Weh spricht: Vergeh! 苦痛は語る、過ぎ去れと! と。 Doch alle Lust will Ewigkeit―, しかし一切の快楽が永遠を欲する―、 ―will tiefe, tiefe Ewigkeit!《 ―深い、深い永遠を欲する!」
(日本語訳はちくま文庫「ツァラトゥストラ 下」P345〜346より:傍点は省略)
これをほぼ正確に使っています。”ほぼ”という意味は、省略している部分はありませんが、繰り返している部分はあるということです。
=== 《Weh》について ちくまの日本語訳(吉沢伝三郎訳)は《Weh》を上述のように「苦痛」と訳している。一方、全音のマーラーの3番のスコアの解説を執筆している園部四郎氏は「悲しみ」と訳している。
ウィキペディア https://en.wikipedia.org/wiki/Zarathustra%27s_roundelay に載る英訳では該当部分に《woe》という単語を用い、weblioでは第一義に「悲哀」を載せる。また、deeplでは第一義に「災い」を載せ、ついで「悲痛、哀れ、憐れ」と訳される。
私見では「悲しみ」が何となくぴったりするように思う(但し100%根拠のない感覚のみの感想です)。
パニチェさん、他の日本語版ではどのように訳されているんでしょうね?
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