| 物の色というのも考えてみれば「それは本当にその物の色と言えるのか?」という疑問が湧いてきます。
太陽光というのは色々な波長の光が含まれていています。例えば赤く見える物はそれに当たった光のうち赤以外の色を吸収してしまい、吸収されなかった赤だけが反射され、それが目に入り赤く見える訳です。そうすると見ているのはその物の色というよりその物に吸収されさなかった赤色(の波長の太陽光)だとも言える訳です。当てる光を弱めるとその物も暗い赤に見えてきます。元の赤と暗めの赤とどちらがその物の本当の赤なのか?当てる光の量によってその物本来(?)の色が変わるのか?と段々それの色について、自信がなくなってきます。
鏡というのはガラスの裏面に銀を蒸着(付着)させて作ります。滑らかな銀面は殆ど光を吸収することなく正確に反射するので、例えばそこに自分の姿を見ることが出来る訳です。しかし常識ある人ならそこに左右逆になった自分が実在するとは思いません。また、鏡は何色でしょうか?と問われてもすぐには答えられません。
話は飛びますが、そのように考えてくると、色に関してはカントの「物自体」という考えはわかる気がします。
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