(現在 過去ログ2 を表示中)

TOP HELP 新着記事 トピック表示 ファイル一覧 検索 過去ログ

No20257 の記事


■20257 / )  また別の意味での自己言及的
□投稿者/ pipit -(2022/01/03(Mon) 18:06:18)
    No20255
    > 「これはルーマンが、オートポイエーシス・システムを自己言及的と呼ぶのとはまったく異なる。」
    と注意書きをしておられます。<

    では、ルーマンさんの自己言及的という単語はどのような文脈で使われてるのか?を、山下先生が論文で記述されていたので抜粋引用します。
    ピンポイントで抜き出すと、

    >オートポイエ ーシス・システムは作動することによってみずからを形成しつつ存在するのである。 ルーマンによれば、「その限り、オートポイエーシスとはシステムのそれ自身による 産出である」v。構成素の産出システムと構成素の関係は私が私を産出するという仕方 で自己言及的になっている。<

    の箇所になると思います。
    ルーマンさんの場合、構成素や構造としての自分を作るシステムという意味で自己言及的という言葉を使われたのかな?と思いました。(違うかもだけど)
    ここらへん、二重作動、などの概念も絡んできそうな箇所だと思っています。
    先に投稿した、山下先生の場合の自己言及は、
    自己の作動の構成素への攪乱を契機とする、別の作動の単体の発生を描かれているものの、それを構造的カップリングとして描くことで、もう一つまた別の?大きな?オートポイエーシスシステムとしての単体を描かれるような予感をしています。

    pipitの書いてる文章、ややこしいよねー 、 伝わらないよねー(多分) 
     (´;ω;`)

    それはさておき、山下先生の論文の抜粋引用をします。


    https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/24254/1/Yamashita.pdf

    『システム論的自我論-カントとオートポイエーシス-』
    山下和也先生の論文です。

    (2003年の論文なので、現在の山下先生の考え方と異なってる可能性もありますが、今まで見てきた基本概念の復習にもなると思うので、抜粋引用させていただきます。)

    抜粋引用開始
    『ある化学反応によって物質が産出され、この物質が何らかの化学反応を継続させ、 産出された物質がさらに化学反応を継続させて、これが連続していくとするならば、 化学反応の連鎖がシステム、産出されていく物質が構成素、外から観察可能な産出さ れた物質の塊がシステムの構造になる。物質の産出を伴って反応の連鎖が続く限り、 産出された物質に基づいて、この連鎖は存在しつづけている。つまり、オートポイエ ーシス・システムは作動することによってみずからを形成しつつ存在するのである。 ルーマンによれば、「その限り、オートポイエーシスとはシステムのそれ自身による 産出である」v。構成素の産出システムと構成素の関係は私が私を産出するという仕方 で自己言及的になっている。また、構成素の産出はシステムの作動のみに依存し、こ れをオートポイエーシス・システムの自律という。
    ただし、システムは、ハンス・ルディ・フィッシャーが言うような、まるで無から 有を生むような自己原因による自己創造をやっているわけではないvi。構成素の産出と はすでに存在している何かを変形加工して構成素にするということに過ぎず、オート ポイエーシス・システムがまったく外物から独立だというのは誤解である。先の化学 反応の例で言えば、反応に先立って何らかの化学物質がなければ反応は生じないし、 物質も産出されない。さらに言えば、システムは自己言及の論理的パラドックスとも まったく無縁である。最初の自己の発生はその自己の働きによるものではないからで あるvii。オートポイエーシスの本質は自己の発生プロセスと発生した自己の再産出プ ロセスにある。
    定義にあるように、産出プロセスは互いに継続していれば、複雑なネットワークで もいい。つまり、さまざまな構成素の産出過程の複合が一つのオートポイエーシス・ システムを構成していることもある。また、構成素が物理的実体である必要もない。 ルーマンはコミュニケーションを構成素とする社会システムを論じているviii。ヴァレラはオートポイエーシスを生物以外に拡張することに反対しているが、この理論の強 みは構成素の定義の柔軟性にあり、構成素になりうるものの範囲の広さが、その広範 な応用の可能性を保証している。
    構成素の産出プロセスの継続とこの構成素の産出そのものとは互いにまったく異質 の過程であるが、同時に進行している。河本氏はこれを「二重作動」と呼ぶix。ここで 重要なことは、産出される構成素はシステムの部分でも要素でもないということであ る。システムは構成素を産出する働きのネットワークであり、いわゆる実体ではなく、 産出された構成素およびそれによって実現している構造とは位相を異にする。オート ポイエーシス・システムが単位体であるとは、システムが部分を持たず、それ以上分 析不可能であることを意味する。ネットワーク的作動は部分に解体しようとすると消 失してしまうのである。
    二重作動し続けるシステムがオートポイエーシス・システムと呼ばれるにはもう一 つ条件がある。それは産出プロセスの連鎖がどこかでそれまでの産出プロセスの一つ に回帰し、循環的に反復し続けることである。この際、まったく同じプロセスが反復 し続ける必要はない。』
    抜粋引用終了


返信/引用返信 削除キー/


Mode/  Pass/

TOP HELP 新着記事 トピック表示 ファイル一覧 検索 過去ログ

- Child Tree -