□投稿者/ pipit -(2022/01/03(Mon) 14:02:32)
| 『カントとオートポイエーシス』山下和也先生の本p8-10から引用したものを【 】で囲みます。
■No20249 > @コード 【産出される構成素のタイプと順序を決める規則】 ※注意点(p8参照) 何が構成素となるかが決まるのがシステム実現時なので、コードはシステムの設計図ではない。システムの実現とコードの創発は同時。 コードもシステムと同じく非空間的ネットワーク状となる。 一つの産出プロセスはコードの一項によって規定される。
> A構造的ドリフト 【コードの書き換えを伴うシステムの変化】= 【作動を通じてシステムが自らのコードを書き換えると、システムのネットワークと構造の形状が変化する。】 (例)【細胞のガン化】
> B構造変動 【コードの書き換えを伴わないシステムの変化】 = 【システムのネットワーク形状が不変のまま構成素の変化によって起きるもの】 (例)【細胞システムにおいての、成長に伴う細胞の拡大】
> Cメタモルフォーゼ 【時間的推移によってコードの読み取りが変化し、ネットワーク形状自体を変えるもの】 (例)【幹細胞から特定の内臓細胞への変化】
======= ABCから、、、 オートポイエーシスシステムは数学的にモデル化することはできない。コード書き換えの可能性などがあり、また山下和也先生曰く 【オートポイエーシスは、カンタン・メイヤースの唱える「非理由律」(メイヤース:一〇五)の支配する領域である。】(『カントとオートポイエーシス』p7より引用。 とのことです。 つまり、どう書き換えられるか、や、オートポイエーシスの生成や消失は 【河本の言うごとく「別段正当な根拠は必要ない」(河本 一九九五:一九四)】同本p7
ここらへんも、@で言及される、コードは設計図ではない、とも関わりますね。
常に現実を対象にみる感じかな。
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> D環境 【システムに属さないものとして切り捨てられた一切のもの】 (例)【細胞システムで言うなら、細胞を形成している全ての分子、周囲の空気、重力など、細胞システム自身でないすべてが、その環境である。】 ※注意点(p9参照) 構造の空間的外部のことを環境と言ってるのではなく、上記の例でも述べられるように、物質的に細胞を形成している分子も環境側に分別されていることに注意です。
> E相互浸透 【システムは自分の環境の一部を自分の作動に巻き込み、自分の構成素に加工することによって存続しており、したがって、システムの構造もシステムの環境の一部からできている。このようなシステム・環境間の関係】
> F攪乱 【相互浸透を介して環境がシステムに、システムが環境に引き起こす変化】 ※注意点 【相互浸透による相互影響に攪乱に対する決定性がない】【相互影響は攪乱を引き起こすきっかけにしかならない】 【自分に生じる攪乱それ自体がどうなるかは、システムと環境がそれぞれ単独で決める。それどころか攪乱が生じるかどうかすらも。これはシステムの閉鎖の結果として、環境からのあらゆる影響もシステム内部的に処理されてしまうためである。細胞システムを例にとれば、被曝によるガン化が攪乱である。同程度被曝したからと言って必ずガンになるとは限らない。】
> G構造的カップリング 【複数のオートポイエーシス・システム同士が互いを環境として相互に攪乱を与え合っているとき、この関係を「構造的カップリング」と言う。攪乱であるから当然、システム間の影響関係に決定性はない】 【攪乱は影響に対する反応ではない。カップリングしている相手のシステムの作動を自分の作動に織り込んでいるだけである。】
> Hカップリング・システム 【構造的カップリングしている全体が別の産出プロセスを生じ、別の構成素を決めて、まったく別のオートポイエーシス・システムが実現することがある。従来この現象には名前がなかったが、ここで新しいシステムを「カップリング・システム」と名付けておこう。】 【複数の細胞システムの構造的カップリングから多細胞生命体が生まれるとき、生体器官を構成素、身体を構造として実現する生命システムは、カップリング・システムになっている。カップリング・システムと元の複数のシステムの関係は構造的カップリングである。】
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