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No20237 の記事


■20237 / )  Re[73]: メルポンの
□投稿者/ 悪魔ちゃん -(2022/01/02(Sun) 08:37:50)
    今年のわたしの物語り、メルポンのを中心に、になるかも。

    『知覚の現象学』の「第一部身体」の最後のところを書き写して見ます。

    【〔身体とデカルト的分析〕
     デカルト的伝統によって、われわれは対象からわれわれ自身を引き離す習慣がついている。つまり、反省的態度は身体を内部をもたぬ諸部分の総和となし、精神を何の隔たりもなく自己自身に完全に現前している存在と規定することによって、身体と精神とに関するふつうの概念を同時に純化するのである。身体と精神との相関関係的なこの定義は、われわれの内と外とに明晰性を確立する。いわば襞のない客体の透明性と、みずからそれであると思惟するもの以外のなにものでもない主体の透明性とを確立するのである。客体はすみずみまで客体であり、意識もすみずみまで意識である。存在するという言葉に二つの意味が、そしてただ二つの意味のみがあることになる。ひとは物として存在するか意識として実存するか、いずれかである。自己の身体の経験はこれに反して両義的な実存様式をわれわれに顕示するのである。私は身体を第三人称的諸過程――「視覚」「運動機能」「性」――の束と考えようとすると、他面これらの「諸機能」が因果関係によって、相互に結びつけられうるものでも、外界と結びつけられうるものでもないということ、これらはいずれも雑然と互いに見極めがたい姿で唯一のドラマのなかで捉え直され、そこに引き入れられるということに、気がつくのである。それゆえ身体は一個の対象ではない。同じ理由によって私が身体についてもつ意識は思惟ではない。つまり私は身体について明晰な観念を形づくるために、これを分解したり再合成したりすることはできない。身体の統一はつねに暗黙のうちの定からぬ統一である。身体はつねにそれがかくあるところのものとは別のものである。自由であると同時につねに性的存在であり、文化によって変容されると同時に自然に根づいている。それは決して自己自身のうちに閉じこもってはいないし、決して超出されきることもない。他人の身体であろうと、私自身の身体であろうと、人間の身体を知るにはそれを体験すること、つまりそれを貫くドラマを引き受けて自己のものとなし、それと一体となるほかに手段はない。それゆえ私は少なくとも、私が既得のものをもっている(訳注81)限り、私の身体である。そして逆に私の身体はいわば自然的な主体であり、私の全体的存在の当座のスケッチである。かくて自己の身体の経験は、客体を主体から、主体を客体から分離するところの、そしてわれわれに身体の思惟もしくは観念に置ける身体しか与えず、身体の経験もしくは現実の身体を与えないところの反省の運動に対立するのである。デカルトはこの点をよく承知していた。というのもエリザベットにあてた有名な書翰において、生を行使することによって理解されるような身体と、悟性によって理解されるような身体とを区別しているからである(209)。しかしデカルトにおいては、われわれが身体であるという単なる事実の結果われわれが自己の身体についてもつこの特異な知識も、観念による認識に依然として従属している。なぜなら事実としてあるがままの人間の背後に、われわれの事実的状況の理性的な創造者たる神がひかえているからである。この超越的な保証に支えられてデカルトはわれわれの非合理的な制約を、静かに受け入れることができるのである。つまり理性を担う責を負わされているのは、われわれではない。そしてひとたびわれわれが事物の根底に理性を認めたうえは、もはや世界のなかで行為し思惟することしかわれわれには残されていない(210)。しかし、もしわれわれと身体との統合が実体的なものであるなら、どうしてわれわれは自分自身のうちに純粋な精神を体験し、そこから絶対的精神に近づくことができるのだろうか。この問いをたてるに先だって、自己の身体の再発見のなかに含まれているものをことごとく調べてみよう。反省に抵抗し、いわば主体にはりついたままでいるのは、あらゆる対象中のこの一つの対象だけではない。暗みは知覚された世界の全体を掩うのである。】

    メルポンは『見えるものと見えないもの』で、
    【精神を身体の裏面と定義する】って言ってる。

    ちなみに、「掩」っていうのネットで調べたら、「おおう。おおいかくす。かばう。かくまう。不意におそう。たちまち。にわか。」ってあった。


    (訳注81)、原注(209)、(210)は次に書き写します。

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