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No16805 の記事


■16805 / )  漢検奮闘記
□投稿者/ 田秋 -(2021/09/26(Sun) 06:59:57)
    2021/09/26(Sun) 09:53:11 編集(投稿者)

    田秋総合研究所もVol.14になりました。今回はVol.13で出た漢検について書いてみたいと思います。題して《漢検奮闘記》。

    元々字が下手の上、メールの時代になりますます字を書かなくなり、ある意味良かったのですが、反面、本当に漢字が書けなくなっていました。たまに葉書を書くときなど1文字1文字漢字を辞書で調べないと正しいかどうかわからなくなっていて、なんとかしないとなあ、と真剣に思っていました。そんな頃・・・

    ボクが懇意にしてもらっている日フィルの先輩がいるのですが、この人が漢検2級を受けたのです。この方はフランスに留学、イタリアで就職、その後日フィルに入ったという経歴の持ち主で、英語、フランス語、イタリア語が話せます。ヨーロッパ公演などでレストランに行っても彼と一緒ならまず困りませんし、ホテルのチェックインが14時でもフロントのお姉さんと掛け合って昼食食べた後13時に部屋に入れてもらえるという特技を持っています。この人とは将棋仲間でもあり、自分の漢字能力の衰退を本当に感じていたこともあり、これを機にボクも漢検に挑戦してみることにしました。

    ただボクは奥ゆかしい(?)ので、謙虚に3級から受けることにしました。2級が高校卒業程度なので3級は中学位のレベルです。級は3級、準2級、2級、準1級、1級とあります(下は10級からあります)。検定は年3回あるので3級、準2級、2級と受け、丁度1年後に準1級をこの先輩と一緒に受けました(会場は違います)。二人とも合格し、残りは1級だけとなりましたが、準1級と1級のギャップが凄いのです。どのくらい凄いかと言うと準1級までが対象漢字が3000字、1級は6000字、即ちもう3000字増えるのです。

    さすがに気安く4か月後に受けてみるかという訳にはいきません。毎日家でびよらのお稽古以外は漢字の勉強三昧でした。2級までは問題集は沢山出ていますが、準1級、1級となるとそう沢山はありません。漢検を主催するところからも問題集(前年に行われた3回の試験問題とその解答)は出ていますが、昔のものはもう本屋の店頭には置いてないのです。それで利用したのが国会図書館です。あそこは「全ての本がある」、というのが建前なので、10年位前のものまでコピーし、うちで勉強しました。

    2級くらいまでは仕事場で勉強していると同僚が興味本位で見に来て「読めるけど書けないなあ」とか言っていましたが、1級になると、書くことも読むことも困難になり、次第に見に来る人が居なくなりました。あと、日フィルの理事長が、ボクが漢検に挑戦しているのを聞きつけ、「1級に合格したら白川静の字統をプレゼントしよう」と挑発(?)してきました。

    そうこうするうちに1年半が経ち、そろそろ受けてみようかということになり、二人揃って受けることにしました。1級は200点満点で8割、160点がボーダーです。この時は二人とも不合格、ボクは144点でした。理事長にも「落ちました」と報告、再び漢字漬けの日々が続き、1年後に二人で再び挑戦することになりました。結果は164点で合格、先輩は残念ながら不合格でした。164点ですからギリギリの合格ですね。そのまま勉強続ければ190点を取ることも可能だとは思ったのですが、ふと「このまま漢字の勉強していたら他の事が何にも出来ない」と思い至ったのです。で止めてしまいました。理事長に「合格しました」と報告したら本当に辞書をプレゼントして頂きました。後で聞いたら、もっと時間がかかるだろうと思っていらっしゃったそうです。心の中で「バカにおしでないよ」。

    漢検挑戦で一番自分のためになったことは、字を書くことが嫌でなくなったことです。別に字が上手くなった訳ではなく、下手でも丁寧に書けばいいんだと思うようになりました。今はどこかで記帳するときも全然嫌でなくなりました。丁寧に書いていると少しずつ上手になっていくような気がします。この年は、ボクの人生の中でも事件(?)が多かった年で、今はボクより偉くなっている学生当時可愛がっていた下級生に何十年ぶりに会ったことや、あと、ここではちょっと書けないこともありました。

    漢検1級に合格したら盛大にパーティーを開くと宣言していたので、日フィルのメンバーを集め開いたのですが、その時ある人がボクのコーヒー好きを知っていて、コピ・ルアクをプレゼントしてくれたのです。これは衝撃でした。それまでその存在も知らなかったのですが、飲んでみてこの世にこんなにおいしいコーヒーがあるのか!と思いました。多分、そのときの感激が妄想に代わってしまったのです。それ以後何度コピ・ルアクを買って飲んでみても、それには及ばないのです。当人にどこで買ったのか聞いてみたのですが、「さあ、どこだったかなあ」とつれない返事。今ボクの願望は、牡蠣にあたることとあの最初のコピ・ルアクの感激の再現です。


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