□投稿者/ みのり -(2021/06/28(Mon) 09:23:59)
| 2021/06/28(Mon) 09:29:34 編集(投稿者)
『ツァラトゥストラ』ちくま学芸文庫上下巻 ツァラトゥストラの読解を少しずつしていきます。
ツァラトゥストラと略される場合も多いようですが、正式には、「ツァラトゥストラはかく語りき」「ツァラトゥストラはこのように語った」などになります。 ニーチェの分身であるツァラトゥストラに、ニーチェの哲学を語らせる形式となっています。 ちくま学芸文庫では、「このようにツァラトゥストラは語った」となっています。 副題として、「万人のための、そして何ぴとのためのものでもない一冊の書」とあります。
ツァラトゥストラというのは、ゾロアスター教の開祖ゾロアスターのドイツ語読みだそうです。 ニーチェはゾロアスターから影響を受けてはいないけれど、その名を取り入れたということです。
ツァラトゥストラという名前が長いので、主に投稿のタイトルにいれる場合などに、ツァラトゥストラを「Z」と表していきます。 本書でも注釈においてそのように表記されています。
では、さっさく、第一部 序説1です。 序説は1〜10まであります。
ツァラトゥストラは30歳の時、故郷を捨て山籠もりを始め、その生活は10年間続きましたが、自分の知恵を人々に「贈与し分与したい」と思い立ち、山を下りる覚悟をします。
この部分、イエスの「荒野の誘惑」への対抗意識があると注釈にあります。 年齢がイエスより上であること、修行の期間も長いということで、ツァラトゥストラの成熟を表そうとしている、とのこと。
ツァラトゥストラは「おまえ、大いなる天体よ!」と太陽に語り掛けている。 ゾロアスター教が太陽崇拝の宗教であることの連想だけではなく、太陽はツァラトゥストラにおいて、「認識と生との根源を表示する伝統的象徴」だそうです。
「わたしのワシとわたしのヘビ」という表現は、それぞれツァラトゥストラの従者の象徴であり、それぞれ「誇り」と「賢さ」を表しているそうです。
6 「わたしは贈与し分与したい、人間たちのなかの賢者たちが、いま一度その愚かさを、そして貧しい者たちが、いま一度その豊かさを、喜ぶようになるまで。」
この部分は、イエスが学者やパリサイ人をおとしめ、こころ(精神)の貧しい者を祝福したという福音書の記述が素地となっているそうです。
賢者たちが自らの持っている知識を捨て(愚かさを捨てる)自己超起しツァラトゥストラの話に耳を傾ければ豊かになり、また、既存の知識を持っていない貧しい者たちはツァラトゥストラの話が入る余地がたくさんにあるので、それは逆に豊かなのである。 このようなことのようです。
12 「― このようにしてツァラトゥストラの没落は始まった。」
没落というのは。ここでは長い思索生活を終え、ツァラトゥストラが人間のもとに向かう、つまり、「孤独から世間へ下って行く」ことを指しているそうです。
没落という言葉は後にも出てくるよく使われる言葉で、意味合いはその場合によって違ってくるようです。
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