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No11269 の記事


■11269 / )  Re[14]: ロゴスという概念
□投稿者/ 悪魔ちゃん -(2021/03/01(Mon) 20:02:08)
    (HS)に「ロゴスという概念」っていうのあったので書き写しておきます。字数の関係で、2回に分けて。

    【ロゴスという概念は、プラトンとアリストテレスにあっては多義的であり、しかも、それらの諸意義がたがいにそむきあって、一つの根本意義によって積極的に導かれてはいないという仕方で多義的である。これは、事実上はたんに見せかけにすぎないのであって、この見せかけが成り立つのは、学的解釈がその根本意義の第一次的な内実において適切にとらえられることができないかぎりにおいてなのである。われわれがロゴスの根本意義は語りだと言うなら、この文字通りの翻訳は、語りということ自身が何を意味するのかが規定されることにもとづいてはじめて、完全な効力をもつものになる。ロゴスの語義の後代の歴史、なかんずく、その後の哲学がなした多種多様な勝手な学的解釈は、語りということがもっているあまりにも明々白々な本来の意義を、不断に隠蔽している。ロゴスは「翻訳され」る、言いかえれば、理性、判断、概念、定義、根拠、関係としてつねに解釈される。だが、どうして「語り」が変様されて、ロゴスがいま挙げたすべてのものを意味し、しかも、学的用語法の範囲内においてそれらのものを意味するようになりうるのであろうか。ロゴスが陳述という意味に解され、だが、陳述が「判断」と解されるときですら、この一見正当にみえる翻訳でもっては、基礎的な意義がなんとしても逸せられているおそれがあり、ことに判断が現今のなんらかの「判断理論」の意味においてとらえられるときには、なおさらそうである。判断が「結合」ないしは「態度決定」(承認―否認)だと解されているかぎりでは、ロゴスは判断を意味しておらず、いずれにしても第一次的な判断を意味してはいないのである。
    むしろ、語りとしてのロゴスは、デェールーンと同じことであり、このデェールーンとは、語りにおいてそれについて「語られて」いる当のものをあらわならしめる、ということである。アリストテレスは語りのこの機能をアポファイネスタイとしていっそう鋭く究明した。ロゴスは、或るものを見えるようにさせる(ファイネスタイ)のである、つまり、それに関して語られている当のものを、しかも、語りつつある者にとって(中動相)、ないしはたがいに語りあいつつある者たちにとって、見えるようにさせるのである。語りは、それについて語られている当のもの自身のほうから(アポ)「見えるようにさせる」。語り(アポファンシス)においては、その語りが真正のものであるかぎり語られている当の内容は、それに関して語られている当の話題から汲み取られているべきであり、したがって、語りつつ伝達するときにはこの伝達は、この伝達がそれに関して語っている当の話題を、言われた伝達内容のうちであらわにし、かくして他人に近づきうるものにする。これがアポファンシスといてのロゴスの構造なのである。あらゆる「語り」が、提示しつつ見えるようにさせるという意味でのあらわにするというこの様態を固有にもっているわけではない。たとえば願うこと(エウケー)もあらわにするのであるが、しかしそれは別の仕方においてなのである。
    具体的に遂行されるときには語ること(見えるようにさせること)は、発言という性格を、つまり、言葉を声に出して口外するとう性格をもっている。ロゴスは、フォーネー、すなわち音声であり、しかも、フォーネー・メタ・ファンタシアス、すなわち、見エル像ヲトモナッタ音声であり――声に出して口外することであるが、そこではそのつど何ものかが看取されているのである。
    そして、アポファンシスとしてのロゴスの機能が或るものを提示しつつ見えるようにさせるということにあるゆえのみ、ロゴスは、シュンテシス、すなわち綜合という構造形式をもつことができる。綜合とは、ここでは、諸表象の結合や連結、つまり、心理的に出来(しゅったい)することどもの操作のことを言っているのではないのであって、そうした心理的に出来する諸表象の結合に関してなら、次に生ずる「問題」が、いかにして内的なものとしてそのような結合が外なる物理的なものと合致するのかということであるのは、当然のことである。綜合の合、つまり、シュンテシスのシュンは、ここでは、純粋に命題的(2)な意義をもっているのであって、或るものをそれが或るものといっしょになっているままに見えるようにさせる、或るものを或るものとして(3)見えるようにさせるということにほかならない。】

    訳注(2)〔ここでは「命題的」という語は、そのドイツ語が由来するギリシア語アポフアンシスに与えられた前記の語義を受けて、提示しつつ見えるようにさせるという意味を含んでいる。〕

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