| 小生の母方の母、つまり小生の祖母に当たる人は生前かなりの資産家だったらし
い。何でも加賀藩の侍医の家柄の出だということでかなりの持参金を持って「降
嫁」して来ていてそれを原資にしたらしい。それで後年孫たちに散々たかられた
らしいのだが、小生は(馬鹿なことに)このおばあちゃんにたかったことが一度も
無かったらしい。彼女は小生について娘つまり小生の母に「この子は欲が無いとい
うか、欲しがらない子だねえ」と後年言っていたということだ。(祖母の財産はそ
の後かなりの部分が母親に渡っているようだが...)
ところで本題に入ろう。そういうことで小生は欲が無いと言うか所有欲や出世欲
がまるで無い性格と任じていた。ただ知識と言うか認識への欲望だけは火のような
ものがあるとは子供のときからそうであったが。それで思い出すのが大学一年のと
きに出会ったある男のことだが、かれは小生に「チミは欲望の塊だな」と言って来
たのだ。そんなことを言われたことはついぞ無かった小生は内心ひどく驚き困惑し
たのだが、こういう言い方は他人を攻撃するときに使ういわば「常套句」のような
ものらしいと気がついたのはかなり後になってからのことである。
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