| ゲームの理論。各ケースの最悪の中(相手が利益最大化の行動をとると予想)から、最善のケースを選択する。(30.50)の意味は30 がA社の利得、50がB社の利得とする。 企業Aの戦略@「価格引き上げ」、企業Aの戦略A「価格の現状維持」 企業Bの戦略B「価格引き上げ」、企業Bの戦略C「価格の現状維持」 @とBの選択の場合利得は(100.50), @とCの選択の場合利得は (85.60) AとBの選択の場合利得は (120.40) AとCの選択の場合利得は (80.70) となる、とする。 企業Aと企業Bはどのような選択をすればよいだろうか。公務員試験によく出る問題だ。 Aが@を選択すると、Bは50<60なのでCを選択する。AがAを選択するとBは40<70なのでCを選択する。結局BはCを選択すると予想できる。BがCを選択すればAは85>80なので@を選択することになる。結果として@とCの選択になる。これがナッシュ均衡である。ナッシュ均衡とは相手の行動が予想通りの時の均衡をいう。 またパレート効率(最適)とは他の組み合わせではどちらか一方の利得が減る状態で上記の場合@とCの組み合わせがパレート効率となる。 上記の場合はナッシュ均衡とパレート効率が一致した場合のケースであるが、一致しないケースもある。それが「囚人のジレンマ」と呼ばれるケースだ。AとBは共犯とする。 例えば囚人Aが自白した場合を@と置く。Aが否認した場合をAと置く。囚人Bが自白した場合をBと置く。Bが否認した場合をCと置く。 @とBの場合利得は (1.1) @とCの場合利得は (10.0) AとBの場合利得は (0.10) AとCの場合利得は (8.8) Aが@の場合、Bは1>0なのでBを選択する。AがAの場合、Bは10>8なのでBを選択する。結局BはBを選択することになる。BがBを選択すれば、Aは1>0なので@を選択することになる。結果、@とBが選択されることになる。これはナッシュ均衡である。 しかしパレート効率ではない。パレート効率の組み合わせはAとCの組み合わせとなり、ナッシュ均衡とパレート効率は一致しないケースである。これが「囚人のジレンマ」と呼ばれているケースだ。 後記。個人的な見解だが、上記の企業の行動が「囚人のジレンマ」の場合、協力した場合、全体の利得が高いとして非協力の利得が少ないと考えるのは短絡的すぎる。企業行動としては利得は大きくなるが消費者を含め社会全体の利得は小さくなる。企業が協力よりも競争したほうが価格は安くなり、消費者にとってはメリットが大きい。独占禁止法で企業のカルテル行為を禁止しているのもその辺の事情があるからだ。
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