| 私の哲学の出発点はバートランド・ラッセルです。大学時代の恩師がラッセルと長いあいだ手紙の文通していて私もその影響を受けたようです。ラッセルを通してバークリーの経験論と観念論を学びました。言語分析のラッセルの流れとは対照的な意識や自我の存在を中心に展開する現象学を精神医学の木村敏から学びました。フッサールの現象学ですね。その流れの先ががサルトルの実存主義ですし、逆にうんとさかのぼればカントにいきつくわけです。特に時間論に関心がありましたのでカントの時間論やマクタガートの時間論と手広く研究してまいりました。思弁的実在論のカンタン・メイヤスーやオブジェクト指向哲学のグレアム・ハーマンはカントの直接認識論とは異なり、間接認識論として捉えています。科学的認識を間接的認識と考えると、その可能性の拡がりとその限界も見えてくるのではないか、と考えています。クワインのプラグマティズムに近いかもしれませんね。
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