| 2022/11/15(Tue) 15:20:55 編集(投稿者)
こんにちは、bwv602さん
こちらに戻ってからは、何回かは日フィルへエキストラとして行きましたが、基本、こちらでアマチュアの方々のお手伝いをしたり、お弟子さんを少し教えたりしています。自分のお稽古は特に本番がなくても続けています。 想像してみてください。5歳から60年以上関わってきたものとは簡単にオサラバはできないのです。
バッハはバイオリンの為にソロソナタとパルティータを3曲ずつ残しています。又、チェロの為に6曲の組曲を残しています。本当に幸運なことに、禍を転じて福と為すの、これ以上の見本はないと思うのですが、バッハがビオラの為に独奏曲を書かなかったばかりに上のバイオリンとチェロ、合わせて12曲はビオラのレパートリーになっているのです。 尤もバイオリンやチェロはビオラなど歯牙にもかけていないので、「領域侵犯だ!」などという世知辛いことは言いません。無視しています。
上に示したバッハを練習するときは、現代の奏法で練習します。シンフォニックオケにいるとピリオド奏法(古楽器の時代による奏法)による演奏をする機会は非常に少ないと言えます。奏法等が全く違うからです。ピッチも今は半音高くなっているので、それに慣れていると大変困惑することがあります。音だけを聴いていれば、そういう調だと思えば(例えばブランデンブルクの6番は変ロ長調ですが、それが半音低いイ長調に聞こえても)それほど困りませんが、楽譜のドの音を弾いたら半音低いシの音が出ると頭が混乱します。絶対音感がなければ良いのですが、幸か不幸か身についてしまっているので、本能的に「違う」と思ってしまうのです。
半音下げて弾く方法は二つあります。一つは調弦自体を半音下げる、もう一つは調弦はそのままでドはシだ!と読み替える方法です。どちらもキツいです。そんなことをするくらいなら、ピリオド奏法は止めにして現代の奏法で弾く方が何倍も楽です。
ピリオド奏法の方々は現代奏法も勿論こなせます。最初は普通に勉強したはずですから。ではなぜボクには出来なくて彼らには出来るのか?これはもう「そういう音楽が好きだ!」によるのだと思います。好きこそものの上手なれ、です。 ひとつ、ピリオド奏法をしない派を擁護するなら、「進化した結果が今なのだ」ということはあると思います。
以上の理由からボクはピリオド奏法の、ピッチを変更する演奏はしたことありません。ピリオド奏法風、なんちゃってピリオド奏法は、指揮者の要望で演奏したことはありますが、大抵はあまりうまくいきません。多くの演奏者がなんちゃってピリオド奏法だからです。そう簡単に見よう見まねで出来るモノではないのですね。
掲載した写真は、ブランデンブルクの3番を現代奏法で演奏したときの写真です。下の写真のコントラバスの横で弾いているオッサンがボクです。
調弦に関する逸話 モーツァルトのバイオリンとビオラとオケのためのシンフォニックコンツェルタンテは変ホ長調です。モーツァルトはビオラのパート譜をニ長調で書きました。そして調弦を半音高くするのです。どういうことかというと、ニ長調の楽譜を弾くと調弦が半音高くなっているので出てくる音楽は変ホ長調になるのです。
そうする理由は二つあり、一つは調弦を高くすることによって弦の張りが強くなり、張りのある音が出ること、もうひとつはニ長調の方が弾きやすいのです、アタマの混乱を除けば。。。
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