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■4931 / inTopicNo.61)  ソポクレス
  
□投稿者/ flora -(2020/08/06(Thu) 05:16:00)
    knowing itselfさんがギリシャ悲劇を持ち出されていたので、私はどの物語が好きなのか、考えてみました。ギリシャ悲劇に精通しているわけでも、数を知っているわけでもないのですが、やはりソポクレスの『オイディプス王』『クロノスのオイディプス』と『アンティゴネ』の三部作が好きです。

    皆さん、ストーリーはご存じだと思いますので、すごく大雑把に書きますが、アポロンの神託を無視したばかりにオイディプスは実の父を殺し、実の母と結婚してテーベの王になる、が、自分の出生の秘密を知らされ母は自殺、オイディプスと自分の眼をつぶして乞食になってアンティゴネと旅に出る。クロノスへ行けとの神託を受け、アンティゴネとクロノスへ行き、森へ入りそこで命が尽きる、一方彼の二人の息子たちは、兄のエテオクレスが弟ポリネイセスをテーベから追い出す。が弟は軍を率いてテーベへ向かい兄と相打ちをして双方が死す。。アンティゴネはポリネイセスをテーベで弔って欲しいと願うが却下される、しかし遺体に砂をかけ弟を弔う。投獄され、アンティゴネは自害する。

    アポロンの神託を無視したばかりに、子の代までに悲劇が襲う・・・紀元前5世紀にすでに立派なストーリーが組み立てられていたんですね・・・

    シェークスピアが題材にしなかったのが不思議なくらいです。

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■4920 / inTopicNo.62)  Re[30]: TEST中 動画
□投稿者/ flora -(2020/08/05(Wed) 13:52:31)
    No4909に返信(田秋さんの記事)
    > 2020/08/05(Wed) 06:47:55 編集(投稿者)
    >
    > 日フィル夏休みコンサートのプレコンサートでの演奏です。
    >
    > 視聴方法は前と同じです。
    >
    > h*ttp://taakii.la.coocan.jp/yesterday.mp4
    >
    > 早くSSL証明取ってhttpsにしないとメンド―ですな。。。

    ===================
    おはようございます〜田秋さん。

    ビートルズのYESTERDAY、子供たちもおとなしく聞いていてほほえましいです。yo
    かったです
    1:45頃からなんと!田秋さんのソロ、そこにヴァイオリンが絡んでいくという展開でよかったです。1:07あたりから、田秋さんのソロにつなぐアレンジも美しかったです。

    最後に子供たちに立ってお辞儀をした田秋さんもよかった。

    色々ご紹介くださいませ〜。

    p.s.田秋さんはbracesをつけていましたね^^


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■4909 / inTopicNo.63)  TEST中 動画
□投稿者/ 田秋 -(2020/08/05(Wed) 06:44:35)
    2020/08/05(Wed) 06:47:55 編集(投稿者)

    日フィル夏休みコンサートのプレコンサートでの演奏です。

    視聴方法は前と同じです。

    h*ttp://taakii.la.coocan.jp/yesterday.mp4

    早くSSL証明取ってhttpsにしないとメンド―ですな。。。
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■4908 / inTopicNo.64)  Re[28]: TEST中
□投稿者/ 田秋 -(2020/08/05(Wed) 05:56:06)
    おはようございます、floraさん

    >ヴァイオリンに合わせて最初に入ってくるのが、第一ヴィオラではないのでしょうか〜?違う?
    違っていません。

    >これからもストリングクインテットを演奏なされてアップなさるのですか〜?^^
    これは過去の産物で、手元に残っている演奏記録です。

    以前西遊記のHPを持っていたのですが、将来の研究論文発表に備え再開しようかなと思いにniftyのlacoocanと契約しました。そのテストです。
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■4907 / inTopicNo.65)  Re[27]: TEST中
□投稿者/ flora -(2020/08/05(Wed) 03:37:26)
    田秋さん、こんばんは〜

    ブラームスの話題の時はお邪魔するのを控えていたのですが、別の話題ということで・・・・

    >モーツァルトのハ長調の弦楽五重奏曲です。第1びよら弾いているのは田秋です。まだSSL証明書を取っていないのでURLがhttpです。お聴きくださる時は2文字目の*を取って新しいウィンドウに貼ってください。

    >h*ttp://taakii.la.coocan.jp/DH_Mozart_StringQuintet_in_C_ver2.mp3

    >3楽章を聴くとどれが第1びよらかわかります、多分(16'32'')。

    3楽章って第一ヴァイオリン第一ヴィオラの対話のような部分ですよね。
    第一びよらかわかるという意味はちょっと分かちませんでした。ちょちょちょちょ・・・とヴァイオリンに合わせて最初に入ってくるのが、第一ヴィオラではないのでしょうか〜?違う?

    これからもストリングクインテットを演奏なされてアップなさるのですか〜?^^




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■4903 / inTopicNo.66)  TEST中
□投稿者/ 田秋 -(2020/08/04(Tue) 22:35:43)
    2020/08/04(Tue) 22:50:41 編集(投稿者)

    モーツァルトのハ長調の弦楽五重奏曲です。第1びよら弾いているのは田秋です。まだSSL証明書を取っていないのでURLがhttpです。お聴きくださる時は2文字目の*を取って新しいウィンドウに貼ってください。

    h*ttp://taakii.la.coocan.jp/DH_Mozart_StringQuintet_in_C_ver2.mp3

    3楽章を聴くとどれが第1びよらかわかります、多分(16'32'')。

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■4880 / inTopicNo.67)  超単純な動機による構築
□投稿者/ knowing itself -(2020/08/03(Mon) 15:19:51)
    超単純な動機のみから交響曲を構築するというのは、ユークリッド幾何に始まる数学、デカルトの哲学などに通じるヨーロッパ的な精神でしょう。

    他のトピでマッハ的な光景が取り上げられていますが、これも目の前にある単純な光景のみから、膨大な哲学的思索を展開する作業といえなくもないです。

    もっともどんなにシンプルな図でも、音よりはずっと情報量が多い。ブラームス四番の動機の方が超シンプルです。ブラームスは交響曲四番の第一楽章でギリシア悲劇やシェークスピアのリア王という大文学に匹敵する世界を表そうとしたという話しもあります。ここら辺が、すべての芸術は音楽に憧れるというゆえんかと。
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■4879 / inTopicNo.68)  Re[24]: ラストシンフォニー 
□投稿者/ knowing itself -(2020/08/03(Mon) 15:07:35)
    田秋さん 、読み応えのある解説ありがとうございます。さすがです。CDのライナーノーツには書いていない・書けない濃い内容です。続編も田秋さんのペースに合わせて読ませてもらいます。


    > https://www.youtube.com/watch?v=7QLuYj2jxoc


    > それではどのようにベートーベン的なのか?動機が超単純なのです。ベートーベンの運命の第1楽章のソソソミー、ベートーベンはこのモティーフだけで運命の第1楽章を作りあげたと言っても過言ではりません。ではブラームスの4番はどうでしょう。
    > シソー、ミドー、ラファー、レシー、ミミ―、ソシー、レレー、ファラーetc(譜例 第1主題)
    > ミミ―とレレーはオクターブ、それ以外は全部3度です。2番目のミドー、4番目のレシーは6度上がっているのですが3度の転回形です。最初の4個は3度下降、オクターブ跳躍のミミーからは後は3度上行になっています。
    >
    > 第1主題のポイントは3度です。

    > 第2主題(譜例 第2主題:1’37’’)は二つの性格の異なった部分で出来ています。最初の4小節は実は続く朗々としたロ短調のメロディの属和音である嬰へ短調なのですが、中々解決しないので(導音のaisが4回現れる)そのまま嬰へ短調に転調したの?と思いそうになりますが、そうすると今度はここに現れているdが曲者で、fis-ais-dの増三和音が響いているようにも聞こえ何か不安定な感じを受けます。また嬰へ短調の三和音が4回現れるので、ここでは3度と共に5度も主要な響きになっています。そしてやっと第2主題のいわゆる後半、メロディ部分がチェロによって演奏されます(1’43’’)。伴奏は3度下降の音型です。
    > ここで言いたいことは二つ、一つはこの3度下降の音型は第1主題であること、もう一つは初めて聴いたときから「あ、タンゴ」という思いです。

    タンゴ的だと感じられるのは、少なからざる人が同意するようにも思います。

    > この演奏を撮ったカメラマン(或いはディレクター)に文句があります。この再現部に向かって音楽は静かになっていきます(6’30’’辺りから)。ここでは長い音符+短い音符3個が主要な動機です。カメラワークで演奏しているプレーヤーが順次映し出していきます。フルート、ビオラ、チェロ、バイオリン、・・・まあ、常識的なカメラワークです。6’57’’ここがこの動機の最終回、そしてそれを演奏しているがビオラなのです!なんでここで大滝秀治を映すの?ビオラは1回映してやったじゃないか!文句言うなよってか?そういう問題じゃあありません。ここがこの動機群の頂点でブラームスはそこにビオラを指定したのです。その後のチェロはちゃんと映しています。ディレクターは最初に映したビオラと映さなかったビオラとどちらが大事だかわかってないんじゃないの?
    > あー、ちょっと興奮しすぎました。まあ考えてみれば自分のオケの映像じゃないしね。。。ここを弾くとき僕はいつも少し楽器を上げて極上のe(with the most sensitive vibrato)を弾いていました(つもり)。

    大滝秀治?誰のことかと思いきや(笑)。それはともかく、こういうところがプロのビオラ奏者にしか真価がわからない醍醐味なのでしょう。サイモンラトルは「オーケストラというワインでいえば、ビオラが中味」といいましたが、ブラームスの交響曲四番というワインの深く繊細な味わいがわかるためには、ビオラの果たす役割を理解しなければ、ですか。



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■4874 / inTopicNo.69)  ラストシンフォニー No.2 
□投稿者/ 田秋 -(2020/08/03(Mon) 06:23:21)
    2020/08/03(Mon) 19:30:54 編集(投稿者)

    おはようございます、knowing itselfさん

    2楽章です。

    https://www.youtube.com/watch?v=7QLuYj2jxoc

    教会旋法という予備知識なく2楽章の出だしを聴くと一風変わったハ長調に聞こえます。譜面を見て聴くと視覚的にもハ長調という先入観を持って(ホ長調で鳴るべき音全部にナチュラルがついているので)聞いてしまいます。ただ、ハ長調にしてはハに重心がありません。

    この楽章は3番4番ホルンの立派なソリ(soli)で始まります(譜例1)。開始音はホです。なのでホ長調の「主音が鳴ったと」と聞こえます。ところが次の2音はファ(Fナチュラル)とソ(Gナチュラル)です。ここで頭の中に?が生じます。Fナチュラルというのは普通ホ調には出てこないからです。そしてホに戻ってしまいます。小節後半はホの後ニとハが現れます。無理に解釈すれば旋律的短音階の下降形です(しかし、この楽章は短調じゃありません)。一体何調?と不安になる所以です。次の2小節はダメ押し(?)です。宙に浮いたハ長調、ホ長調に孵化しようとしているハ長調という感じです。これがブラームスの仕掛けた巧妙な罠で、4小節目のクラリネットの嬰ト(G♯)〜決め手となるホ長調第3音〜これが鳴るのを聴いて、安堵とともにやられた!と兜を脱ぐのです。ただ、まだすっきりとはしません。
    「そんなん、あり?」

    楽曲解説を読んで、ああ、これがフリギア旋法なのか、ふむふむ、ブラームスは教会旋法を使って昔に戻ろうとしているのだなと手品の仕掛けがわかるのです。Fに下降導音的な性質があるので一旦鳴ったGもその引力に引っ張られてEに戻ってるんだなあ。この辺の事情はプロのプレーヤーよりアマチュアの方の方が詳しいかと思います。本当にアマチュアの方はよく勉強なさっています。プロも色々曲の周辺のことを勉強すべきなのですが、取りあえずは周辺より音そのもの学習に追いまくられているわけです(それを理由に勉強を怠けている)。

    勿論ブラームスは当時の音楽界のトップランナーの一人であり、業界最先端事情〜例えばワーグナーがどのような音を書いているか〜は十分承知しているのであって、その上で時代に逆行するような和声や書式を使っているのです。ある意味武満が歩んだ道もそれと似ているかもしれません。

    古い旋法が使われていることはわかりましたが、1楽章で話をした3度、5度のことにも触れておきます。冒頭のホルンをもう一度見てみます。1小節目の前半は3度の上行動機、後半は3度の下降動機です。合わせるとド〜ソの5度になります。次の2小節目と3小節目は少しくどいですが同じことが繰り返されます。こうして3度と5度とミが強調(アナリーゼ的には「確保」といいます)されます。
    4小節目後半のクラリネットのG#でこの上ない安堵感を覚えるとともにやっと2楽章が動き出します。しかし安堵したのも束つかの間、すぐにホ長調構成音以外の音が現れます(譜例第1主題の3小節目)。これも教会旋法の一つ、エオリア旋法という解釈で説明がつきます(が、一々そんな聴き方してると疲れますね)。

    形式はごく単純なソナタ形式、単純すぎて展開部もありません。第2主題(16’22’’)は形式通りのホ長調の属調、ロ長調です。このチェロで演奏する第2主題すごく美しいのですが、ビオラとファゴットが奏でる対旋律もすごくきれいです。各々の旋律がきれいと言うより、主旋律と対旋律が織りなす陰影になんとも言えないブラームスの優しい心を感じます。解説書などでは「ファゴットが奏する対旋律」とありますが、こちとらそんなつもりは毛頭ありません。数じゃこちらが上なんだ。ま、指揮者とファゴットが泣いて頼むのだったら少しは手を抜いてやってもいいですがね。ま、ビオラは争いごとは好みませんから、ファゴットを立ててあげましょう(実はビオラとファゴットのどちらが大事だ?闘争をよそに1stVnが得も言われぬ美しいオブリガートを演奏しています)。主旋律と対旋律、それに纏わりつくようなオブリガート。どうしてこうも美しく立体的なものが構築できるのでしょう!!多分ブラームスには未来の音楽に向かって突き進む開拓精神よりも重要なものがあったのだと思います。

    さてマイスターブラームスは本当にビオラが好きなのです。再現部(18’17”)は主旋律も対旋律もビオラです。どうだ!ブラームスはビオラを信用してるんだぜぃ、と言いたいところなのですが、実はここでも木管の風に吹かれて舞い降りる花びらのような装飾が耳を引きます。いや、これも表舞台にしゃしゃり出てスポットライトを浴びることを好まぬ控えめなビオラの人となりをブラームスはよ〜くご存じで、わざと木管に耳が行くように書いてるんです(かな?)

    第2主題の再現(20’16”)も型通りのホ長調です。ここでは弦のアンサンブルが聴きどころです。分厚くて優しい、目のある女性なら一目で見抜く男の理想像です。格好いい!とか面白い人!とかそういうんじゃないんですね。物静かで優しい眼差しを持つ男さん、そんな音楽です。どうしてブラームスは結婚できなかったんでしょうね?作品と人となりは違うということでしょうか。シャイ過ぎたのかも。

    この楽章にも1楽章に出てきた様な「もやもや」とした部分があります(譜例2)(21’57”)。音型はだいぶ違うのですが、減3和音の不安定な調性が響きます。
    最後は再び冒頭のホルンが堂々と響き渡ります。大きな船が大海へ出帆していくような雰囲気です。旋律はフリギア、伴奏はホ長調(チェロとビオラのアルペジオ)なので、GとG#がほぼ同時に響きます。が、これを「音が濁っている」と感じる人は一人もいないでしょう。
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■4853 / inTopicNo.70)  ラストシンフォニー 
□投稿者/ 田秋 -(2020/08/02(Sun) 07:36:32)
    2020/08/02(Sun) 08:24:57 編集(投稿者)

    おはようございます、knowing itselfさん

    全部書き終えるの待っていたらいつのことになるかわからないので、書けたところからアップします。そうした方が早く書き上がるかも・・・

    ブラームス交響曲第4番 第1楽章です。

    4つあるブラームスの交響曲で最も演奏機会が多いのは1番、次に多いのが2番か4番でしょう。3番もいい曲なのですが静かに終わるのでコンサートのメインになりにくいという事情があります。この中で一番好きなのは4番です。

    譜例だけでは音の感覚が出ないので、演奏でも該当箇所を示します。演奏は大滝秀治指揮ヨーロッパ室内管弦楽団です。この書き込みに出てくる時間はこの演奏によっています。
    https://www.youtube.com/watch?v=7QLuYj2jxoc

    1楽章の冒頭、最初のバイオリンのシを少しテヌートしてそこに感情移入をたっぷりする指揮者もいます。それはそれでメランコリックな気分になりますが僕はスタートボタンを押すと演奏がさっと始まる、そんな感じが好きです。この出だし、一言で言えば爽やかな哀愁!そんなイメージを持っています。

    音楽はブラームス以外の何ものでもないのですが、造りは大変ベートーベン的です。工房ベートーベンの職人ブラームスみたいな。。。職人といってもとうにマイスターの資格を持ち、いつ独立してもいいのに大師匠に心酔し、その傍を離れたくないという困った(?)マイスターです。
    それではどのようにベートーベン的なのか?動機が超単純なのです。ベートーベンの運命の第1楽章のソソソミー、ベートーベンはこのモティーフだけで運命の第1楽章を作りあげたと言っても過言ではりません。ではブラームスの4番はどうでしょう。
    シソー、ミドー、ラファー、レシー、ミミ―、ソシー、レレー、ファラーetc(譜例 第1主題)
    ミミ―とレレーはオクターブ、それ以外は全部3度です。2番目のミドー、4番目のレシーは6度上がっているのですが3度の転回形です。最初の4個は3度下降、オクターブ跳躍のミミーからは後は3度上行になっています。

    第1主題のポイントは3度です。

    譜例2をご覧ください。これは冒頭から3小節間に現れる音を音階として表したものです。ホ短調の和声的短音階です。次に譜例3は続く主題を同じく音階にしたものです。譜例2と違うのは2か所、2音目がf(譜例2ではfis)、それと7音目がd(同dis)になっています。これは古い教会旋法のうちフリギア旋法と呼ばれるものです。ここでブラームスはこの曲全体から醸し出されるしっとりと落ち着いた(或いは古めかしい)雰囲気の種明かしをそっとしているのではないかと思います。金田一耕助の事件簿で横溝正史がごく最初に犯人をそっと登場させているかのようです。

    第2主題(譜例 第2主題:1’37’’)は二つの性格の異なった部分で出来ています。最初の4小節は実は続く朗々としたロ短調のメロディの属和音である嬰へ短調なのですが、中々解決しないので(導音のaisが4回現れる)そのまま嬰へ短調に転調したの?と思いそうになりますが、そうすると今度はここに現れているdが曲者で、fis-ais-dの増三和音が響いているようにも聞こえ何か不安定な感じを受けます。また嬰へ短調の三和音が4回現れるので、ここでは3度と共に5度も主要な響きになっています。そしてやっと第2主題のいわゆる後半、メロディ部分がチェロによって演奏されます(1’43’’)。伴奏は3度下降の音型です。
    ここで言いたいことは二つ、一つはこの3度下降の音型は第1主題であること、もう一つは初めて聴いたときから「あ、タンゴ」という思いです。解説書を読んでもブラームスがタンゴを聴いてこのリズムを思いついたとはどこにも書いてないので、完全に根も葉もない僕の勘違いなのですが、一度そう聞こえてしまうとあとはもう何回弾いても聴いても「あ、タンゴ」と聞こえてしまいます。
    譜例5は第2主題の前半と3度下降音型が結ばれている例です(6’00’’)。この連結は他にも沢山でてきます。ここで掲げたのは一例ということです。

    再現部がまた凝っています。すぐにここが再現部だとは思いません(譜例4:7’07’’)。その後の7’30’’辺りが少し変形された再現部かのように聞こえますが、譜例4は第1主題そのものをがぐーっと引き延ばされた音楽なのです。
    この演奏を撮ったカメラマン(或いはディレクター)に文句があります。この再現部に向かって音楽は静かになっていきます(6’30’’辺りから)。ここでは長い音符+短い音符3個が主要な動機です。カメラワークで演奏しているプレーヤーが順次映し出していきます。フルート、ビオラ、チェロ、バイオリン、・・・まあ、常識的なカメラワークです。6’57’’ここがこの動機の最終回、そしてそれを演奏しているがビオラなのです!なんでここで大滝秀治を映すの?ビオラは1回映してやったじゃないか!文句言うなよってか?そういう問題じゃあありません。ここがこの動機群の頂点でブラームスはそこにビオラを指定したのです。その後のチェロはちゃんと映しています。ディレクターは最初に映したビオラと映さなかったビオラとどちらが大事だかわかってないんじゃないの?

    あー、ちょっと興奮しすぎました。まあ考えてみれば自分のオケの映像じゃないしね。。。ここを弾くとき僕はいつも少し楽器を上げて極上のe(with the most sensitive vibrato)を弾いていました(つもり)。

    最後に、この楽章で特徴的だと思うパッセージに譜例6があります(3’04’’)。これは何回か出てきますが、もやもやっとした独特の雰囲気です。この譜例ではコントラバスはgisを延ばしていますが、他のパートにはgが現れています。音域が離れているので直接ぶつかることはありませんが、もやもやに緊張感も加わります。普通as(=gis)とgがぶつかることは成り行き上ありますが、gisとgがぶつかることは特にこの時代ではそう多くない現象です(短2度のぶつかりより増1度のぶつかりの方が同じインターヴァルなのに何故か緊張が強いと感じます)。

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■4837 / inTopicNo.71)  Re[22]: 浄められた夜 シェーンベルク
□投稿者/ flora -(2020/08/01(Sat) 19:45:53)
    No4833に返信(田秋さんの記事)
    > >弦楽合奏版の見本ありますか?
    > このブーレーズのが弦楽合奏版ですが・・・ブーレーズ以外にということですか?
    > sextetなら
    > https://www.youtube.com/watch?v=HHbiu57-J8Q
    > は如何でしょうか?Artemis Quartet+アルバンベルクカルテットのVlaとVCです。

    はい、どうもありがとうございます。別ヴァージョンで聞いてみたかったものですから。
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■4835 / inTopicNo.72)  後期ロマン派の官能性
□投稿者/ knowing itself -(2020/08/01(Sat) 19:11:58)
    マーラーの緩徐楽章がどんなに耽美的でロマンチックであっても、健康的というか、ヤバくないというのはその通りだと思います。マーラーは基本的に真摯な求道者のようなところがあります。彼の伝記的なことを読んでも、可哀想で抱きしめてあげたくなることもある。

    後期ロマン派でその官能性が強烈なのはやはりワーグナーでしょうか。

    「トリスタンとイゾルデ」第二幕の冒頭から、密会がバレるまで。不倫の快楽をよくそこまで魅力的に表現できるなと。音楽は天才としかいいようがない麻薬的な底なしの吸引力。

    「ワルキューレ」第一幕でジークリンデとジークムントが互いの真の関係がわかってからの音楽。これは近親相姦じゃないか?

    「ジークフリート」第三幕でブリュンヒルデが目覚めてからの、ジークフリートとの間での官能の爆発。

    ワーグナーは人間性そのものが破天荒で、とうてい善良な人間とはいいかねますね。音楽史上の大天才であることは間違いありませんが。
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