| ちょっとひといき
カントは従来の形而上学を愛する人からは嫌われてることも多そうですよね 汗
すごくつまらない範囲になっちゃうじゃないか、って。
さっきの書き込みするために初めて目を通した、方法論の最初の文章が 私には興味深かったです。
引用します。 超越論的な方法論・序(カントの文章です)
『ここで思索に基づく純粋な理性の認識の全体を、一つの建造物のように考えてみよう。(略) そこで明らかになったのは、わたしたちは当初は天にとどくほどの塔を建造するつもりだったのが、 手持ちの材料を検討してみると、やっと一軒分の住宅が建てられるほどの材料しかなかったことである。 しかしこの住宅は、経験という平野でわたしたちが仕事をするには十分な広さがあり、 この平野を見渡すにも適切な高さであることが、明らかになったのである。 しかも[天にまでとどくほどの塔を建造するという]あの無謀な企ては、 言語の混乱が起きていなかったとしても、材料不足のために失敗に終わらざるをえなかったのである。 かつては言語の混乱のために人々は建物の設計について分裂せざるをえなかったのであり、彼らは地のすべての場所に散らばって、それぞれの自分たちの計画によって建築を進めざるをえなかったのだった。
しかし今ここで問題にしているのは材料ではなく設計であって、わたしたちは自分のもてるすべての能力を超えるような恣意的で、盲目的な計画を立ててはならないことを警告されているのである。 しかしそれだからといってわたしたちは、堅固な住宅を建築するという計画まで放棄することはできない。 わたしたちがなすべきことは、自分たちに与えられていて、しかもわたしたちの必要を満たすことができる材料を使って、建物を建築することなのである。
(略)』 『純粋理性批判7』カント/中山元訳、p13.14より引用
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